日本では楓<カエデ>又は紅葉<もみじ>と呼ばれている木です。
日本国内には約28種のカエデが生息していて、日本全土で見られます。秋には見事な紅葉を見せなど日本人にはなじみのある植物です。
メイプルには大きく分けて2つの種類があります。
1、ハードメイプル
強度・耐久性に優れ、ネック材に多く使用されています。材質は硬く、アタック、サスティーンともに優れています。また、経年変化により材色も深い飴色になります。
代表的な使用例としてフェンダー社のストラトキャスターのネック材やギブソン社のレスポールのボディートップ材などに使用されています。
当社でもネック材、ボディートップ材に多く使用しています。
ギター以外にもヴァイオリンのバック材にメイプルが使用されています、これはハードメイプルが主で、特に旧ユーゴスラビアのダルマチア地方や、
ボスニア地方のバルカン山地で産する通称バルカン材が最も適していると言われています。おそらくは音響特性が非常に優れているためだと思われます。
他に、ピアノのも使用されています。
楽器以外でもよく使用されており、身近なところではボーリング場のレーンや、野球のバットなどにも使用されています(メジャーリーグのバリー・ボンズ選手がハードメイプルのバットで多くの本塁打を記録に残しています)。
ホットケーキでおなじみのメイプルシロップが取れるのもハードメイブルの仲間です。
<ハードメイプルに区分される種>
シュガーメープル(砂糖カエデ)
ブラックメープル
2、ソフトメイプル
強度的にはハードメイプルに比べ落ち、比重もその分軽くネック材には不向き。ボーディートップ材に使用されることが多いです。
加工はハードメイプルに比べると容易ですが、しかしその反面、反りやすく乾燥が難しいため割れやすいなどの間題もあります。
また、音質的にハードメイプルに比べてアタック感や低音域に劣る面がありますが、材自体の鳴りはこちらの方が良いようです
<ソフトメイプルに区分される種>
レッドメープル(アメリカハナノキ)
シルバーメープル(銀カエデ)
ボックスエルダ−(ネグンドカエデ)
ビックリーフメイプル
日本にもカエデ属の木はたくさんあります。イタヤカエデという木が主に材木として使用され、性質的にはハードメイプル近いと言えますが、楽器用材としては余り向いていないようです。
また、ヨーロッパ中南部あたりで産するシカモアと言う木がありますが、この木はアメリカでフィドルメイプルと呼ぱれているのでも分かるとおり、同じカエデ属の木です。
メイプルと同じ様な木目を持ち、より白く柔らかいのが特徴です。市場価格はメイプルより安く、波状杢も良く出ているため代替材として使われることが多い様です。音質的にはソフトメイプルに近いようです。
<特徴>
メイプルには非常に多く杢が出やすく、それらは外見上の美しさから装飾として広く使われています。高級車の車内パネルやシフトノブ、工芸品などにも使用されています。もちろんギターにもボディートップ材に使用されています。
杢の種類はカーリー、タイガー(柾目材に現れる杢はこれらの名前で呼ばれる事が多い。また、バイオリンに多く使われているため、バイオリン杢とも呼ばれる。)、フレイム(板目材に現れるものはこちらの名前)、ハードメイプル類にだけ現れるバーズアイ(鳥眼杢)、バーズアイはとても珍しい杢で、普通は数万本〜数十万本に一本ぐらいの割合でしか取れないため非常に高価な材です。
他には鱗杢、玉杢(キルテソド:めっきり少なくなってしまって、程度の良い物は最低でも数万円)、泡杢くブリスター)、縮杢(波状杢のさらに細かいもの(日本ではゴザの目に似ているところから“ゴザ目"などと呼ばれたりもしています)など色々ありますが、ギターではソフトメイプル・ビックリーフメイプルに良く見られる鱗本、玉杢が有名です。
波状杢、鱗杢、玉杢などは、木の成長過程で木材組織が異常な成長をしたために現れるのですが、バーズアイ(鳥眼杢)は何故出現するのか未だ謎になっています。